まんてんえがお本社の茂呂父です。

6月27日草加市文化会館で、草加市介護事業所連絡会の平成29年度第1回研修会が開催され、ひいらぎ足立の細野所長はじめ、サービス提供者3名と参加しました。

この連絡会は、大変アットホームで、年会費1事業所たったの2,000円にもかかわらず、介護現場で働く人の思いを汲んだすばらしいテーマ設定で、年3回開催してくれます。

今回は、メディカルトピア草加病院の理学療法士3名が講師・インストラクターで、「現場で役立つ起居動作、安楽な姿勢の保ち方」をテーマに、講演と実技を織り込んだすばらしい企画でした。

支持基底面を広くする

移動・移譲は生活の中でもきっても切れない関係にあり、移動がうまくいかなければ、生活の中のさまざまな動作を無理なく行うことができません。

そのために、介護技術の分野では、ボディメカニクスやキネスティティクといった考えの基、いろいろな工夫が行われています。

今回は、そうした理論をしっかり身に着けるというよりは、実践的な実技としてのポイントを重視した講義と実践でした。

たとえば、立っているときに、あるいは少し押されたときにぶれない姿勢という説明を、写真のように、実際にインストラクターがやって見せてくれるという方法です。

右の人(A)は、足を少しだけ開き直立しています。左の人(B)は、前後直角に足を開き腰を落としています。どちらが、安定した姿勢で、なぜ安定しているのでしょうか?というクイズ形式で、聴衆を引き込んでいきます。

 

Bの人ですよね。支持基底面(支持面とその間にできる底面のこと)の広いことが安定につながるということを説いてくれます。

ベッド上での移譲

この日の講師・インストラクターの論拠は、古くて新しいボディメカニクスです。

ボディメカニクス、皆さんご存知ですよね。

てこの原理を利用し、看護師や介護士が患者・利用者の姿勢や動作に応用する技術で、重心や支持基底面を考えて利用することで、最小の力で最大の効果を得ることができ、介助は楽になり介助側の負担も軽減することができる、というものですね。
介助の場合では、まず介助側が安定した姿勢をとること、自分の体重と重心の移動をうまく調和させることが大切です。
また、患者の運動能力を可能な限り発揮させるような指導と、誘導が必要になります。 そのためには単に筋力に頼るだけではなく、様々な姿勢反射を利用するとともに、体軸性回旋(体軸を左右に回旋させる動作)を有効に利用し、重心の移動をコントロールすることが重要と言われています。

ボディメカにクスには次の8原則があると言われています。

1.支持基底面積をひろくする
2.重心の位置をひくくする
3.重心の移動をスムーズにする
4.重心を近づける
5.てこの原理を使う
6.利用者の体を小さくまとめる
7.大きな筋群を使う
8.広い空間で効率よく行う

講義は、1~7を中心に説明が行われ、ベッド上の移譲、ベッドからの立ち上がりまで、ベッドからの車椅子への移動、車椅子からベッドに戻るまでを、インストラクターのお手本を基に、私たちが利用者役・介護役に交互に交代して実践しました。

ベッド上での移動では、体を小さくまとめるを体現するため、両腕を交差させる、ひざを立てコンパクトにする、その上で無理のない移譲を行う、を実践しました。

ベッド上での移動方法は、足→腰→上半身と分節的に移動させることが肝要と教わりました。

座ることができました

写真は利用者の頭側から見て左側のベッドサイドに座るまでの移譲です。

左手は膝に添えて、右手は肩を持って手前に回転させます。引っ張るのではなく、膝を倒すことを意識してと言われました。膝が倒れると人間は自然と横を向くようになのだそうです。

ここでのコツは、まずは必ず「押す」のではなく、「引き寄せる」ことだそうです。

なぜなら「押す」となると少なからず上から押さえつけるような感じになるので利用者に負担をかけます。また摩擦も多くなるので必然的に多くの力が必要です。

それよりは利用者の身体の下に腕を入れて、腰を落として引き寄せます。体の下に腕を入れることで摩擦も少なく、真横に引けるので無駄のない力で動くそうです。

 

 

車椅子に座れました

移動を行う前に

1.移動する事を被介護者に伝えます。
2.車椅子への移乗がしやすいように、ベッド付近を整理します。
3.車椅子の安全を確認します。(車椅子のタイヤの空気・ブレーキの効きを確認しておく)
4.ベッドの高さを調節します。(被介護者の足が床につく様にする)

車椅子の設置

ベッドの側面に設置します、この時、被介護者がアームレストにつかまり易く、尚且つ移動する距離を短くするため、ベッドの側面に対し20~30度の角度をつけます。片麻痺のある被介護者の場合は、麻痺の無い側に設置してあげます。
※車椅子のストッパーがかかっているか、フットレストは上がっているかの確認をします。

 

 

 

 

 

細野所長のこの真剣な表情

インストラクターのお手本を見た後は、私たちの実践です。

見守るインストラクターの顔が、「見てられないよ」と言っていませんか。

次の出番の細野所長のこの真剣な顔、皆さん見たことありますか。

受講側の応用編では、体が全身硬直に近い人の場合どうするか、体が硬くすぐ痛がる人の場合どうするか、など、インストラクターの指導をいただきながら、いろいろなバリュエーションにチャレンジしながら、体得できたことも多かったのではないかと思います。

参加した緒方・佐藤の2人のサ責も満足そうな顔でしたよ。茂呂父は、実際に近いということで、利用者役で重宝され、後半は、写真を撮ることもままなりませんでしたが・・・・・・・・・